5月17日(土)に、藤原印刷さんの松本本社で開催された「第3回 心刷祭」に行ってきました。
今回おじゃました「心刷祭」は、藤原印刷さんのお仕事を間近で見られるオープンファクトリーイベント。工場見学や印刷立ち会いなどのワークショップ、マーケットなど盛りだくさんのお祭りです。
実際に印刷現場を見学できる貴重な機会ということで、山を越えてやってきました。

行きはあいにくのお天気でしたが、松本駅からシャトルバスで出発です!
今回、私たちは工場見学ツアーと印刷立会のワークショップに参加しました。
工場見学ツアー
これまでに延べ20万点以上の本を生み出している藤原印刷さんで、一冊の本がどのようにして生まれるのか、実際のフロアをご案内いただきながら、①組版、②製版、③印刷 の3ステップでわかりやすくご紹介いただきました。


見学用のリーフレットまでご用意いただいていました、、ホスピタリティ〜、、!
①組版
原稿をもとにレイアウトを行い、印刷用のデータを作る工程です。
お客さまからのデータをもとに、1ページ、1行ごとの文字量を決め、書体を選び、時には図版を作り、、。
私たちにとっては一番身近なお仕事です。
中でも藤原印刷さんの良さを感じられたのが、校正時に登場する「青いえんぴつ」の書き込み。
単純に入稿されたデータを流し込み、お客さまからの赤字のみを修正するのではなく、校正段階で担当者が気づいたポイントを青字で書き込まれるそうです。
単なる作業者ではなく「本づくりのプロ」として、美しく読みやすいデータ作りはもちろん、より良い本のために内容まで読み込まれる丁寧な姿勢が伝わる印象的なお話でした。
②製版
組版で完成したデータをアルミの板の板に焼き付け、印刷に使う版をつくる工程です。
印刷方式には、家庭用プリンターと同じように版を作らずデータから直接印刷する「オンデマンド印刷」と、版にインクを載せて紙に転写する「オフセット印刷」があります。
…ということは知識としてあっても、「オフセット印刷」の版を実際に見るのは初めて。
組版されたデータの通りに、アルミの板に凹凸をつけるそうですが、その専用機が大きい!長い!
デスクが並ぶオフィスにこの機械が置いてあるのは、なかなか異様な光景でした。
同じフロアには、その他にも高精度スキャナーやカメラなどもあり、お客さまの様々な角度からのご要望に応えられてきた現場を見学することができました。
③印刷
最後に、いよいよ印刷の工程へ。
先ほどの版を、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインク分用意し、印刷機に組み込むと、それぞれ順番に紙に刷られていきます。
印刷を行う部屋は、インクと紙のパフォーマンスを一番良い状態にするために、室温25度、湿度55%に常に管理されているとのこと。朝と夜、または季節が異なると仕上がりに差が出るようで、その度にインクの量などを調整されるようです。(繊細、、!)
どの段階でも、お客さまの要望以上により良いものを作ろうとされている藤原印刷さんならではのこだわりと心遣いを感じ、とても勉強になりました。
印刷立会ワークショップ
年間100組以上の方々が印刷の立ち会いに来られるという藤原印刷さん。データ調整ではなく、印刷機でのインクの調整で、どれだけ写真の色や雰囲気が変わるのかをUVオフセットの印刷機で実演していただきました。
1枚のポスターに配置された8枚の画像に対して、それぞれ「黒をしめて」「柔らかい雰囲気で」「インクゴリ盛りで!」などと参加者が発注。それに対して印刷のオペレーターさんがその場でインクの調整を行なって変化を確認していきます。

調整後(右)と前(左)。お野菜や夕焼けの鮮やかさが違うのがわかりますね〜
現場での調整は、最後の味付けとお聞きしていましたが、日々せっせと印刷前の画像データの色味を調整している私たちは「インクの調整でもこんなに変わるのか!」と驚きました。
(「ゴリ盛り」は心刷祭限定の特別仕様!実際の業務ではありえないくらいインクを乗せてくれていたようです笑。)
また、たった4色のインクの量を調整し、これだけの表現の違いをコントロールしている細やかな職人技に感動しました。

事前申込の見学が終わった頃には、雨もあがっていました。
心刷祭で楽しめるのではワークショップだけではありません。大きな工場の中に広がったマーケットには、魅力的なお店がずらりと並んでいました。
工場見学の後は、みんなで箔でお絵描きをするワークショップに参加をしたり、おやつを買って食べたり、上高地の白い砂をもらったり。



出店者さんたちは、みなさん藤原印刷さんのお客さまだそうで、商品はもちろんのこと、ショップカードや商品のリーフレットがおしゃれ。さすがです。
1日イベントに参加させていただいて、自分たちが普段行っている「デザイン」の仕事の先、「印刷」の現場で働く人と技、こだわりを見て知る貴重な体験となりました。
また、お客さんを迎え入れる藤原印刷の社員さんからお仕事への誠実さと、その素敵なお人柄をひしひしと感じました。
いつかぜひ一緒にお仕事してみたいです。
藤原印刷株式会社
松本市に拠点を置き、70年にわたり本をはじめとする多くの印刷物を手掛けてきた印刷会社さん。
最近では「クラフトプレス」を掲げ、県内外から、個性的かつ作り手のこだわりが溢れる印刷物で注目を集めています。
他社で実現が難しい案件でも、ご相談に乗っていただける印刷界のメシア。
